art
WE PROPOSE A DESIGN FOR THE LIFESTYLE
THAT REPRESENTS THEIR OWN VALUES.
A picture of patience
2017年08月20日

先日、大阪国立国際美術館で行われている「バベルの塔」展へ行ってきました。
ブリューゲルの作品はもちろんのこと、その時代(16世紀ネーデルランド)の
ヒエロニムス・ボスをはじめとする画家たちを時系列でとらえた展示でした。
副音声などなくても、パネルでの説明や流れなどしっかりしていて
とてもわかり易かったです。

じつは妻が宗教画や奇想画といったものが好きで
門外漢の僕は連れられていったようなところがあったのですが
繊細な書き込みや想像力には圧倒的されてしまいました。
これらが16世紀に書かれていたとは信じがたいです。

展示の最後にはもちろんラスボス「バベルの塔」が待ち構えているわけですが、
それと一緒に原画(B2くらいのサイズ)の拡大版も展示されています。
この拡大版を制作するにあたって3DCGを使用したらしいのですが
テクノロジーと古典作品って相性がとてもいいですね。
改めてそう思いました。
3DCG制作風景の動画も一緒にあるのでぜひ見てほしいです。

あとグッズ関連がとてもよかったです。
これは購入した活版印刷のポストカード。
ブリューゲルの作品「Patience(忍耐)」から抜き取られた
鳥のキャラです。かっ、かわいい。。

忍耐、机の前に飾っています。

Strange things will be standards someday.
2015年10月11日

magritte1

先日、京都で開催されている「マグリット展」へ行ってきました。
そろそろ紅葉も始まるので、できるだけ人混みを避けて
平日にバスにも乗らず、四条からトコトコ歩いて行ってきました。
会場は思ったほど人もいなくてすいすいと見ることができました。
(どれだけ人混みがイヤなんだ、俺)

黒い帽子を被って出かけたので意図せずマグリットの絵画モチーフとして
よく出てくる人物のコスプレみたいになってしまって
会場のスタッフにツッコミを入れられるところでした。
(どれだけ人と拘わりたくないんだ、俺)

説明するまでもなく、マグリットは所謂シュルレアリスムの画家ですが
その影響はポップアートからグラフィックアート、音楽、小説の世界まで広く及んでいます。

今こうやって回顧展としてずらっと見てみると、
当時はアヴァンギャルドで異彩を放っていただろう作品たちが
ポップだしわかりやすいし少し物足りない気がしました。
それだけ当時衝撃的だとされていたものが
今では普遍的なものとして受け入れられている証拠でしょう。
当時は衝撃的だったビートルズの楽曲が、今ではロックの金字塔であるように。
残念なことに僕は当時のことを想像するしかないのですが。

しかしなにより僕にとって衝撃的だったのは
中学生の時に教科書に載っていたマグリットの絵を切り取って
下敷きに挟んでいるくらい好きだった、という
一緒に行ったツマの告白でした。
(どれだけマグリットが好きだったんだ、君)

We will always study local.
2015年09月07日

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8月中旬に夏休みをいただいて高松と直島に行ってきました。
直島に行くのはかれこれ4〜5回目です。
直島は今ではアートで有名になりましたが、初めて訪れたときは
地中美術館もなく、食事もするのも大変な(食堂やカフェがまったくない!)島でしたが
今ではコンビニまでできて、とても便利になりました。

香川県は瀬戸内芸術祭の影響でアートのイメージが強いかもしれませんが
それ以上に名建築が多いことでも有名で
丹下健三が設計、壁画を猪熊弦一郎が担当した香川県庁東館をはじめ、
いわずもがなイサムノグチ庭園、秋山邦晴が設計した石のスピーカーがある城の眼、
大高正人の坂出人口土地、色んな老舗喫茶店で見ることができる桜製作所の家具、
そして安藤忠雄設計のベネッセミュージアムなど
骨太で伸びやかな建築や家具を多く見ることができました。

こういった場所で実際に建築物に触れると
その当時の建築家の多大なチャレンジ精神と反骨心を感じることができます。
当時は一般の人たちから奇異の目で見られたであろうこれらの建築が
今もなお残って愛されていることに感動します。

建築は使う人や住む人に合わせる必要がある一方で
それらの人たちの意識や生き方を変える力をもっているはずです。
つまり人が建築物にあわせることで
人生だって変わるような生き方ができるかもしれない。

旅で見た建築たちは静かにそう語っているようにも思えました。

All Things Must Pass
2015年08月09日

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昨日は念願のヴォルフガング・ティルマンス展へ行ってきました。
ティルマンス展は約11年ぶりの日本での開催(しかも大阪のみ)ということで
どうしても観たかったのです。
ちょうど大阪、神戸共に花火大会の日ということもあって
街中には浴衣姿の人たちがたくさん溢れていました。

暑い中、ひいひい言いながら美術館に到着して
息も整えずに大量の写真を一度に観たせいか
それとも彼の写真が持つリアルさ、批評性、雑多性などの毒気(のようなもの)を
浴び過ぎたせいなのか、会場の最後の方には目眩がして
一度休憩しないと鑑賞できない状態になってしまいました。

ティルマンスといえば90年代を青春時代として過ごした
僕のようなサブカルチャー好きにはまさに神のようなフォトグラファーで
影響を受けた人も数知れずいると思います。
ただこうして青春時代を過ぎて、当時を振り返るように作品を観ると
また違った意味で胸がざわつくのを覚えました。

時は過ぎる、しかし忘れられない事もあるということなんでしょうか。
久々にCONTAX T3をもって街に出かけようと思います。

The Inner Kingdom of the heart
2015年07月26日

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先日楽しみにしていた「舟越桂展」に行ってきました。
暑い中、県立美術館は多くの人で賑わっていました。
いつきても素敵な建物ですね、さすが安藤忠雄。

で、舟越桂展ですが、舟越桂といえば
天童荒太のブックカバーなどで印象的な
彫刻作家というイメージが強いのかと思います。

静謐さと異形さを兼ね備えた彫刻。
どこを見ているのかわからない眼。
なにかを諦めてしまったような、
いまにも爆発しそうな魂をかかえているような
不安な表情。

今回の展示は文字通り目と鼻の先まで近づいて
作品を鑑賞することができ、
もう一人の自分と対峙しているような
不思議な錯覚に陥りました。

おそらく多くの訪れていた人たちも
それぞれの作品に自己を投影し、
自分の内面を暴かれたような
気持ちになったに違いありません。

僕はひとつひとつの作品を近づいて鑑賞した後に
一度全体を見渡すように会場を見てみたのですが、
1つの作品を見るのには一人で対峙するようになるので
そのひとつひとつの作品を見ている人たちから
それぞれの感情が立ち上がるような
風景をみることができました。

改めて人間1人一人というのはそれぞれの人生があって
心に抱いている気持ちがあるのだなと感じました。
当たり前で陳腐なことかもしれませんが、
実際に肌を通じて感じることはやっぱり大事です。

僕は無神論者ですが、
心の中の王国という考えはわりに好きです。
もっと自分の心の王国に耳を澄ませ、と
舟越桂の作品は問いかけているようにも思えました。

自分の心の王国に耳を澄ませたことがありますか?

If your mind has an anchor
2015年06月28日

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先日、兵庫・王子公園にある横尾忠則現代美術館へ行ってきました。
横尾忠則現代美術館は横尾忠則が兵庫出身ということもあり
彼の膨大な作品アーカイブを保存することを目的とし、
貴重な作品などを独自の視点で企画展示している美術館です。

現在は「Cut & Paste」をテーマとして
彼のコラージュや切り貼りを多用した絵画などを中心に
80年後半〜90年前半を中心に展示されていました。

横尾忠則といえば僕がまず思い浮かべるのは
死生観や宗教を軸として圧倒的な情報を対象にぶつけ、
質、量共にまさに洪水のように
作品をアップデートしているというイメージです。

今回の作品群もまさにその類いで
今では「カット・アンド・ペースト」なんて
日常会話でも普通にでてくる軽いイメージをもった内容が
まるで臓器を増殖、量産していくような真逆の雰囲気で
様々な情報が口の中に流し込まれるような「重い」展示でした。

しかし、これも彼の作品全てに通じて感じることですが
その重さは作品自体の力量が総じて大きいというわけではなく
ある一点において力量がとても大きいということです。
なので鑑賞している時は意識がかなり飛ばされるのですが
鑑賞後、ずっと熱にうなされる雰囲気はあまりない。

もちろんこれは彼の意図するところだと思います。
やっぱりポップアートなんだと強く実感しました。
軽さの中に心に残る重さが確実にあります。

海辺に漂う舟がしっかりと錨を海底に下ろしているように
僕も彼の作品のように心の中に錨を持っていたい。

あなたは心に錨を持っていますか?