去年くらいからハヤカワ・ポケットミステリ、通称ポケミスにハマっています。
ポケミスは判型が変わっているし、装丁もいいし、揃えたくなりますよね。
といっても、もっぱら図書館で借りて読む派ですけれど(苦笑)
個人的にミステリーのいいところは、
パッと読めてサッと忘れるところだと思っているんですけど
そんな中でもなかなか読ませるというか、深いストーリーのものも多くあります。
ということで、最近借りて読んでよかったものですー。
「解錠師 / スティーヴ・ハミルトン」
幼少期に事件に巻き込まれ、それ以来言葉を話すことができなくなった主人公。
それと引き換えに天才的な金庫破りの才能を開花させることになり・・という
少し変わったミステリー。主人公の孤独な心情やロマンスなどあって
映画化してもよさそうな内容でした。配役とか考えたくなりますね。
僕的には主人公はポール・ダノがぴったりな感じ。
「アイ・コレクター / セバスチャン・フィツェック」
ベルリンを震撼させる連続殺人事件。猟奇的な殺人方法はすべての事件で共通しており、
いたちごっこのように犯人と主人公のかけひきが続いていく。
時系列がエピローグからプロローグへと続くという変わった構成で話が進んでいきます。
ミスリードものが苦手な僕でも「やられたー!」と唸ってしまいました。
「ねじれた文字、ねじれた路 / トム フランクリン」
殺人事件の容疑者として周囲から白眼視され孤独に生きる自動車整備士の主人公と、
その事件を契機にして疎遠だった少年時代の親友と再開し、物語が進んでいきます。
本当の殺人事件の犯人は誰なのか、そして主人公と親友との過去に何があったのか。
暗い心の澱が少しづつ胸に溜まっていくような、重く静かなトーンでストーリーは進んていきますが、
エンディングには泣かされました。
ミステリーというよりもヒューマンドラマに近いのかもしれません。
ポール・オースター「スモーク」とか好きな人にもおすすめかも。
僕の読んでいるのはわりと最近のものばかりなので
もっと過去の名作も読んでいきたいと思っています。
完全にオヤジの趣味になってきてますね(苦笑)
以前は敬遠していた小林信彦のエッセイをまとめて読んでいます。
・・・おもしろい。
おじさんが文春で読むようなものだと思っていたのに。
自身の認めたもの以外を受け入れない姿勢みたいなものが
昔はよく分からなかったのですが(要するに嫌いだった)、
自分の器が大きくなったのか、はたまた趣味が合うようになったのか、
なんだかしっくりくる部分が多いです。
自分もおじさんになったとは思いたくないですが。
確かに偏屈で保守的な(特に芸能に関して)部分もありますが
語られるトーンはユーモアがあって声高ではない。
いろいろ言われることも多そうですが
権力をかざしている人ではないんでしょうね。
こういった昔は避けていた人たちを見直そうと思っているのも
SNSで毎日飽きもせず世界にけんか売っているような
声だけ大きい人たちにうんざりしている反動かもしれません。
8月に入って本格的に暑くなってきました。
燃えますっ(夏大好き)。
愛犬はだらけきっています(夏大嫌い)。
突然ですが、7月に読んだ本。
滴り落ちる時計たちの波紋/平野啓一郎
人間の尊厳と800メートル/深水黎一郎
コップとコッペパンとペン/福永信
キルリアン/藤沢周
祈望/藤崎慎吾
おがたQ、という女/藤谷治
彼女の部屋/藤野千夜
理由はいらない/藤田宜永
クレーターと巨乳/藤代冥沙
アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎
不思議というには地味な話/近藤聡乃
村上さんのところ/村上春樹
忘れられた巨人/カズオイシグロ
リストをみて、おや?と思ったカンのいい人もいるかもしれませんが、
僕はライフワークとして「図書館で読んだことない作家をA-Zで借りていく」という
地味なことをしています。
今は「は行」あたりを読んでいるのでこんな感じになってます。
あとは新刊とか妻が借りてきた本をちょこちょこ読んだり。
大体月10〜15冊ペースです。
こんなことをやっていると「ハズレ」のほうが
圧倒的に多いんですけど、このハズレの蓄積が
確実に本を正しく評価する力を養うことになります(と思う)。
今月読んだものでは藤田治と深水黎一郎がとてもよかった。
村上春樹、カズオイシグロは僕にとっては音楽でいえば
ビートルズやビーチ・ボーイズみたいなクラシックな座標的存在なので
なにが出ても楽しめるというか、出してくれるだけでありがたい。
あとなぜか「伊坂幸太郎好きですか?」とよく聞かれるんですけどなんでだろう?
全作品は読んでないですけど1/3位は読んでるふつうのファン、
ぐらいの立ち位置だと思います。
彼は音楽でいえばイーグルスとかシカゴとかにちかい存在です。
あくまで僕にとってはですが。
やっぱり小説を読むっていいですよね。
自分の感性を広げ、息を潜めて意識の奥深く潜っていく体験は
小説に勝るものはないと思っています。